英会話上達のための第一歩は、
基本的な英会話の文法をすぐに口から言えるようにすること
です。
その理由を少しだけ説明しましょう。
アメリカには昔から移民や留学生が多く訪れています。そのため、アメリカの言語学者や心理学者は英会話ができない人にどうやって英語を教えるか、どうやって英会話を上達させるかをずっと研究してきました。つまり、アメリカには英語が母語でない人に英会話を教える方法、英会話を上達させるノウハウが蓄積されているのです。
そのアメリカで長く英会話指導の方法となっていたのはオーディ・オリンガル・メソッド(注1)と呼ばれるものでした。
この英会話指導法による上達のための基本的な考え方は、
「英語を文字ではなく、耳から聞いて理解する。」
「耳で聞いて反射的に口から言えるようになるまで繰り返し練習する。」
というものです。
英会話初心者が英語を聞いてすぐに口から言えるようにするためには、はじめは単語、そして短い文である必要があります。そのため、オーディオ・リンガル・メソッドによる英会話の練習では、
「まず、やさしく短い文をすぐに口から言えるようにする。そして、少しづつ難しく長い文を言えるようにする。」
という方法がとられました。
この英会話の練習法を採用した教室では、ネイティブの自然な早さの英語を耳で聞いて、同じ文をリピートしたり、単語を入れ替えて文を作ったり、英会話のための基本文法を使った質問に答えたりする練習をします。教師の質問に即座に答えられるようになるまで繰り返し何度も口頭練習します。このような練習をするのは、英会話上達の基本は「習慣形成」だという考え方に基づいていたからです。
オーディオ・リンガル・メソッドは、もともとは戦争中にアメリカの軍人に外国語習得をさせるために用いられたアーミー・メソッドという指導法をもとにしています。アーミー・メソッドは上達の基本は「習慣形成」という考え方でした。このメソッドがアメリカの軍人の外国語能力を上達させることに成功したため、第二次大戦後も一般の英会話学習者の英語を上達させるためにさかんに行われるようになりました。その後は改良されたり、これとは違う考え方の英会話の指導法がいくつも登場しています。
しかし、「まず耳で聞いて理解する。耳で聞いて反射的に口から言えるようにする」という英会話上達のための考え方や、オーディオ・リンガル・メソッドから生み出された口頭練習の方法は今でも英会話の練習パターンの1つとして広く採り入れられています。
このメソッドを英会話上達を目指す学習者側からみると、
(1)やさしい文法から難しい文法までを順番に整理して学んでいく。
(2)自然な速さの英語を耳で聞いてすぐに口頭で反復する。文字に頼らない。
ということになります。
では、これから具体的な英会話上達のための学習法を見てみましょう。
→英会話上達法2 へ続く。
(注1)
オーディ・オリンガル・メソッドに関する参考文献
高見澤孟「新しい外国語教授法と日本語教育」アルク
(第1章 オーディオ・リンガル・アプローチと日本語教育)
名柄 迪、西 家栄子、茅野 直子「外国語教育理論の史的発展と日本語教育」アルク
(第3章 オーディオ・リンガル・メソッド)
ウィルガ・M. リヴァーズ「外国語習得のスキル―その教え方」研究社出版
(第2章「耳と口による」教授法)
ダイアン ラーセン・フリーマン「外国語の教え方」
(第4章 オーディオリンガル教授法)